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最新記事【2006年05月07日】

□正式国名 :ポルトガル共和国 Portuguese Republic
□首  都 :リスボン
□面 積 :約50万6千ku
□人 口 :約1053万人(2004年)
□元  首 :アニーバル・アントーニオ・カヴァコ・シルヴァ大統領
□政 体 :共和制
□民族構成 :先住イベリア人、ケルト、ゲルマン系、フェニキア、ベルベル人などの混血
□宗  教 :カトリックが圧倒的多数を占める
□言 語 :ポルトガル語
□通 貨 :ユーロ(euro) 1ユーロ=約144円(2006年5月)
□G D P :1人当たり19380ドル(2004年)
□時 差 :−9時間(サマータイム時は−8時間)
□所要時間 :17〜21時間(成田−ヨーロッパ経由)
□電 話 :国番号351
□電 気 :220V 50Hz
□経済成長率:1.0%(2004年)
□物価上昇率:2.6%(2004年)
□在留邦人数:560名(2005年7月)
□物 価 :日本の約3/5(目安)

ポルトガルポルトガルは、地中海気候で一年中温暖な国で、中世の街並みを残した趣のある街とのんびりした田舎の風景を持つ国です。日本との関係は古く、鉄砲伝来より南蛮文化が日本に伝えられ、親近感の持てる国の一つです。大らかな気質を持つポルトガルの人々に魅かれ、当地にロングステイする日本人も数多くいます。

ポルトガルは、ヨーロッパ大陸南西部に位置するイベリア半島の西の端に位置し、北部から東部にかけて1214kmにわたりスペインと国境を接している国です。国土は日本の約4分の1と北海道くらいの大きさの小さな国ですが、15世紀から始まった大航海時代には、海を越えて世界中に渡り歴史的にも諸国に大きな足跡を残してきた国です。ポルトガルの気候は地中海気候に属し年間を通して温暖で、6月から9月頃までが乾季となり一番暑い頃には日中は30度を越えることもありますが、乾燥した気候のため朝晩は意外と涼しく過ごしやすいです。秋から春までは雨が降ることが多く、特に北部では雨量が多くなります。

日本との関係は、16世紀半ばにポルトガル人が種子島に漂着以来、鎖国までの約100年間に鉄砲伝来をはじめとして食文化にいたるまで、その南蛮文化は当時の日本に大きな影響を与えてきました。現在も両国間の文化交流は盛んで、また日本の常任理事国入りについてポルトガルは側面的に支援するなど政治的にも両国には良好な関係があります。ポルトガル国内の治安に関しては、大きな凶悪犯罪などは少なくヨーロッパでは治安のいい国のひとつですが、スリや置引き、引ったくりなどは度々起こっており、ホテルのロビーなどで待ちかまえ、尾行してから犯行に及ぶ事件などもあり、警戒を怠らないようにすることが大切です。

ポルトガルは中世の街並みを残し文化的にも当時の雰囲気が感じられる国ですが、ポルトガル語で郷愁や哀愁、懐かしさを表現する「サウダーデ」という言葉がぴったりの、古きよき街並みやポルトガル人の優しい人柄に魅かれ、ヨーロッパ各地から海外移住する人の多い国でもあります。そこに暮らす人々も昔かたぎの人が多く、古きよき日本とどこか共通する良さを持っており、そのお節介でおおらかな人々の人柄に魅かれ、海外移住やロングステイの滞在地に選ぶ日本人も多くいます。

ポルトガルへの入国では、日本国籍のある人が観光目的でスペインを訪れる場合には、帰国日までの有効なパスポートを所持していれば事前にビザなどの取得は必要ありません。90日を超える滞在を希望する場合には、年金受給者などを対象とした長期滞在ビザを事前に申請・取得しておくことが必要です。また、ポルトガルはシェンゲン協定に加盟しており、日本からEUのシェンゲン協定加盟国を経由してポルトガルへ行く場合には乗り継ぎ空港でEU圏への入国審査があり、ポルトガルでの入国審査は不要になります。

シェンゲン協定とは、ヨーロッパ内での出入国の簡素化を図ることを目的として1995年に発足したEU内での協定で、協定国以外(EU加盟国以外)から協定国に入国する場合には、最初に入国する協定国で入国手続きを行い、協定国から協定国以外の国にに出国する場合には、最後に出発する協定国において出国手続きを行います。したがって、空港ではシェンゲン協定国間を移動する人と、協定国外から入国したり協定国外へ出国する人は、別々のターミナルを使用することになります。

2006年現在、シェンゲン協定には、EU加盟国であるポルトガル、スペイン、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャ、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、デンマークノルウェー、アイスランドなどが加盟しています。

ポルトガルでは、90日を超える滞在には滞在目的に適ったビザが必要で、日本人の海外ロングステイでは年金受給者を対象としたビザがあります。この長期滞在ビザは、他国の同様のビザと少し違いがあり、滞在期間については申請者の希望を聞いた上で判断がなされることです。希望滞在期間を申請し、何故ポルトガルに住みたいのかという理由や意思についてもビザ発給の判断では重視されるようです。

したがって、居住するのに充分な資金の証明とともに、居住目的をしっかり記載した理由書を添付の上で在日ポルトガル公館(大使館・領事館)にビザを申請する必要があります。ビザの申請から取得までは半年から1年以上掛かる場合もあり、海外ロングステイの予定を立てる際には充分余裕を持って申請する必要があります。必要書類の滞在希望理由書や健康診断書などはポルトガル語に翻訳する必要がありますが、翻訳はポルトガル在日公館で有料で依頼することもできます。なお、現地銀行への預金条件などは特にないようです。

【必要書類】
@申請書
A健康診断書
B経済的な生活資金の証明(年金収入証明書の場合はポルトガルで需給できる証明も)
C無犯罪証明書
D滞在希望理由書(ポルトガルの法律を遵守することも書き添える)
Eパスポート
F写真
G旅行保険などの保険契約書

日本からポルトガルへは直行便はなく、日本航空や全日空、ブリティッシュエアラインやエールフランス、ルフトハンザ、KLMオランダ航空など数多くの航空会社のヨーロッパ主要都市を経由する便、または乗換便で首都のリスボンに向かうことになります。日本からは経由地または乗換の時間を含めて約17〜21時間の所要時間になります。

国内での移動手段では、リスボンやポルト、ファロ、マデイラ諸島、アソーレス諸島などの主要国際空港には、TAPポルトガル航空やポルトガリア航空、Luxor航空などのポルトガルの航空会社の他、世界各国の航空会社が就航しています。国内各地の地方都市空港にはポルトガルの航空会社が多くの便を就航しています。

鉄道は、ポルトガル鉄道(CP)がリスボン市内4箇所にあるターミナルを中心としてポルトガル全土に鉄道網を張り巡らしており、国内各地へは特急や急行が運行しており、リスボンからコインブラを経てポルトまで走る新幹線アルファ号などの高速鉄道も運行しています。また、スペインとの間に国際列車も運行しており、ヨーロッパ各地とも繋がっています。国内の都市間を結ぶ長距離バスは、民営分割化された元国営バス会社のREが全土をカバーしており、主要都市間には急行バスが頻繁に走っています。また、各都市には民間のバス会社がきめ細かい路線網で中距離路線を運行しており、行き先によってはCPよりもバスのほうが便利なことがあります。

ポルトガルでのロングステイでは、レンタカーを借りて移動する方法もありますが、右側通行や数多くあるルトゥンダと呼ばれるロータリーへの進入規則(ロータリー内の車優先)など日本人には馴染みのないことが多いので充分注意する必要があります。また特にリスボン市内においては狭く曲がりくねった道が多く、石畳の道や路面電車の軌道など滑りやすい道も多いため、慎重な運転をする必要があります。

ポルトガルの医療は、一般的にはヨーロッパの中ではそれほど医療レベルが高くないのが実情で、特に公立病院では設備や衛生面でもあまり進んでおらず、一部の私立医療機関のみが先進国レベルの医療レベルを持っており、現地に到着したら掛かる医療機関をあらかじめ選択しておくことが望ましいでしょう。また、日本人医師や日本語を話す医師は殆どいないため、英語かポルトガル語での受診となります。したがって、持病がある場合などにはあらかじめ日本で診断書を作成の上、ポルトガル語に翻訳して持参しておくことが賢明でしょう。

ポルトガルの医療機関は、公立病院、公立診療所、私立病院、個人医院の4種類があり、その受診システムは日本とは違い、地域の掛かり付けの診療所で最初に受診するシステムで、怪我や手術、精密検査などが必要な場合には、診療所の医師の紹介で病院を指定されることになります。初診や通院には原則予約が必要で、緊急の場合には公立病院ではすぐに受診ができます。 公立の医療機関では、ポルトガルの社会保険に入っていると無料もしくは2〜3ユーロと低額で受診できますが、いつも混雑しており受診までの時間も相当掛かります。

私立病院では、設備面や衛生面ではほぼ問題がなく、医療レベルも高いところがあり安心して治療が受けられますが、社会保険は適用されず、個室に入院するだけで1日約200ユーロ程度の高額の費用がかかります。また、個人医院の場合には往診も可能ですが、こちらも社会保険は適用されず高額費用がかかります。外国人が1年以上の長期滞在をする場合には、ポルトガルの社会保険に加入することができますが、受診医療機関を指定されることもあり、できるだけ私立の医療機関に掛かることが望ましく、そのためにも事前に必ず海外旅行保険などに加入しておくことが必要です。

ポルトガルへ移住やロングステイする場合には、都市の一般的なホテルやキッチン付きの長期滞在用ホテル、週単位で賃貸できる電化製品や家具が整ったアパートメントホテル、リゾートタイプのマンション、一般的な賃貸アパートなどの選択が可能です。短期の場合にはホテルやアパートメントホテルがその対象となりますが、夏のシーズンには5割から10割増になるところもありますから、予算を抑える場合にはピークの時期をはずすなど、滞在時期を考慮して計画することも大切です。

アパートメントホテルはリスボンなどの都市部以外のリゾート地にもあり、基本的な生活設備はほぼ整っているため、衣類や身の回り品のみで暮らし始められると言う利点があり、地域によって違いがありますがおよそ1泊70ユーロくらいから利用できます。リゾートタイプのマンションは、海沿いのリゾート地などに多くあり、設備などはアパートメントホテルと同様ですがメイドサービスなどはないところが多く、週単位での利用が可能で週400ユーロくらいからあります。

賃貸アパートでは、ロングステイの場合には家具や電化製品一式が付いた物件を賃貸するのが一般的ですが、ポルトガルでは電気代が高く、光熱費の安いガス設備のついた物件を選ぶのが賢明です。基本的には1年以上の契約で毎年インフレ率が加算される契約となりますが、中には短期契約に応じるところもあり、また日本人が持っている物件を短期で貸し出しているようなところもありますから、インターネットの掲示板など不動産屋以外でも調べてみることが大切です。賃貸料は2ベッドルームで600ユーロくらいから借りることができます。

滞在費は、滞在する地域によっても異なりますが、夫婦2人で郊外のアパートに滞在する場合には、住居費が光熱費と合わせて月に約800ユーロ、食費は時々日本食などを外食した場合には約500ユーロ、交通費や趣味の遊行費、娯楽・生活雑費が500ユーロ、合計1800ユーロとなり約26万円強でのんびりした生活ができます。

ポルトガルでは、西側が沿岸域にあることから海産物が豊富でイワシやタラ、タコなどを使ったシーフード料理が多くあり、また肉類も牛肉や豚肉、鶏肉以外にもウサギ肉やラム肉を食べる習慣があります。野菜類も豊富にあり、米も炊き込みご飯やリゾットなどにして食べる習慣があり、ポルトガルの食事は日本人にもとても親しみやすい料理が数多くあります。

ポルトガル料理といえば何百種類もの料理方法があるタラの料理が代表的で、ポルトガル人の日常の食卓にはタラが欠かせません。切り身にフライドポテトとスクランブルエッグを混ぜた庶民的なタラのブラシュ風や、日本のものほど乾燥してない干タラやイワシの炭焼などは思わず醤油を垂らしたくなります。ポルトガルでの魚の扱いは日本での調理とどこか似ており、イワシやスズキ、マグロなどはそのまま単純に塩焼きするのが一般的で、醤油の代わりにポルトガル名産のオリーブ油を垂らします。

エビやアサリ、アンコウ、タコなどの魚貝類をたっぷり使ったトマトベースのリゾットも、イタリア風のものよりずっと水分が多くてちょうど日本のお粥のようです。タコの炊き込みご飯、小アジの空揚げ、イカのグリルなどは日本料理と良く似ています。また、ポルトガルでは、ヨーロッパに珍しくイカやタコを日本人と同じように生でも食しますが、干タコというのもあって、日本のスルメのような食感でこれまた醤油が欲しくなります。

肉料理は、鶏の丸焼きや子豚の丸焼きなどグリルしたものやローストしたもの、煮込み料理など素材の新鮮さにこだわった素朴なものが多く、またアサリなどの魚介類と豚肉の意外な組み合わせのアレンテージョ風豚肉なども日本人には馴染みやすく、違和感なく味わうことができます。ただポルトガル料理は、全体的に日本人にとってはオリーブ油と塩の量が少々多く感じられることもあり、そんなときには気軽に少なめとリクエストすることができます。また日本食も、都市部ではアジアレストランで寿司などが味わえますしリスボンには日本食レストランがありますから心配することはありません。

ポルトガルの電圧は220Vで、プラグ形式も2穴で日本のプラグ形状とは異なり、日本で使っていた電化製品を持ち込む場合には、そのままでは使えず変圧用のコンバーターとプラグ変換アダプターを購入することになります。また、現地で販売している電化製品は、日本の製品と比較すると性能の点でも劣ることが多く、ドライヤーや身の回りで使う比較的軽いものは日本からヨーロッパ仕様のものを持ち込むのがいいようです。

賃貸した住まいに電話がない場合にはポルトガルの電話会社に申し込むことになりますが、ポルトガルでは電話の普及率はほぼ100%ですから、まずどこで賃貸しても電話がない確率はほぼ0%です。また、公衆電話は街中にあり、コイン式とテレフォンカード式があります。テレフォンカードは街角のタバコ屋や郵便局などで手軽に購入できます。

携帯電話は、ポルトガルでは普及率が99%とほぼ誰でも持っているような状況で、日本と同じように日常的な使われ方をしています。携帯電話には契約方式とプリベイトカードを購入する方式があり、学生などの使用ではプリベイト方式の普及率が高く、1年以上の長期海外ロングステイでない限りはプリベイト方式が手間もなく手軽に購入できます。携帯電話は街中にある携帯電話ショップで購入することができ、プリベイトカードも同時に購入することができます。

日本からノートパソコンを持ち込んで住まいからインターネットをするには、インターネット用のプリベイトカードを使ってダイアルアップでの接続が手軽にできます。ポルトガルでは、全世帯の約1割にブロードバンド環境が導入されており、電話回線を利用したADSLの契約も手軽にでき、月当たり25〜50ユーロ程度で利用できます。またケーブルテレビの回線を利用したブロードバンドもあり、ケーブルテレビへの加入を計画している場合には、テレビの視聴料とブロードバンド利用料を合わせた金額が電話回線のADSL利用料とほぼ同金額のため、こちらの方がリーズナブルです。

ポルトガルのテレビは、RTPの国営放送2局のほか全国ネットの民放が2つあるだけで、多くの家庭が衛星放送やケーブルテレビの契約をしています。ポルトガルで日本語放送を視聴するには、ヨーロッパ域をサービス対象にした日本語衛星放送会社のJSTVでNHKと民放を編成して提供しており、デジタルアンテナとデコーダーを購入するか最寄のケーブル放送局で申し込むことで視聴できます。また、JSTVの視聴を契約するとラジオ日本も聴くことが可能になります。

新聞は、ロンドンを経由して日本の朝日や読売、日本経済新聞などの衛星版が入手できます。その他、日本語情報誌としてポルトガル通信が発行されており、また、暮らし方や医療、レジャーなどについて在ポルトガル邦人がまとめたリスボン生活便利帳なども便利な読み物です。リスボンには日本語書籍を貸し出しているミニ図書館を個人で運営している人もいて、在ポルトガル日本人にはありがたい存在となっているようです。

リスボンは、ポルトガル西部の大西洋沿岸に位置しているポルトガルの首都で、スペインから流れてきたテージョ川の河口に開けた人口約60万人のポルトガル最大の都市です。テージョ川河口とサン・ジョルジェ城の丘からなる旧市街とその周辺に広がる新市街からなる都市で、ポルトガルの政治経済の中心地として、またポルトガル最大の港湾都市としても機能しており、7つの丘に囲まれた街は坂が多くトラムとケーブルが街の名物にもなっています。夜の帳が下りる頃、旧市街の下町で流れる哀愁のファドの調べを聴くと、この国の持つ歴史や文化をあらためて体感することができ、日本人が持つ情緒的な心とどこか通じるものを持つこの国の人々の人柄に魅かれ、当地に移住やロングステイする日本人も数多くいるようです。

日本からリスボンへは、日本航空や全日空、ヨーロッパの各航空会社の便でロンドンやパリ、フランクフルトなどのヨーロッパ主要都市を経由もしくは乗換することになり、所要時間は約17〜21時間です。リスボン空港から市内中心部へは約8キロ、オレンジ色のエアポートバスで市中心部のロシオ広場までは約20分、タクシーで約15分の所要時間です。長距離鉄道のターミナルは市内に4箇所あり、パリやマドリッドからの国際列車、ポルトガル北部からの国内列車が発着するサンタ・アポローニア駅、ロシオ駅、カイス・ド・ソドレ駅、バレイロ駅があります。

リスボンでは公共交通機関が発達しており、メトロと呼ばれる地下鉄やバス、トラムと呼ばれる路面電車があります。メトロはガイヴァッタ線やジラッソル線、カラヴェラ線、オリエンテ線の4つの路線があり、それぞれ色分けされていて1日乗車券や回数券などがあり外国人にも利用しやすく便利です。バスは市内を網羅する路線を持っており、路面を走る5つの路線を持つリスボン名物のトラムや7つの丘を結ぶケーブルカーと共通の前売り券などがあります。また、国鉄の近郊列車も便利な乗物で、カイス・ド・ソドレ駅からリスボンの西にあるカスカイスへ向かう国電が頻繁に運行しています。タクシーはメーター制で初乗りが1.8ユーロと利用しやすいですが、中にはメーターを使わない悪質運転手もいるので注意が必要です。

リスボンには、国際的なシティホテルやリーズナブルな中級ホテルも数多くありますが、海外ロングステイで滞在する場合には、短期だとキッチン付きのアパートメントホテルが便利でしょう。リスボン市内なら2ベッドルームが1泊70ユーロくらいから利用できます。長期の場合には清潔な新市街にアパートが多くあり、60平米くらいの1ベッドルームが500ユーロ、100平米の2ベッドルームが800ユーロくらいで賃貸できます。中には短期貸しをしているところもあり、2ベッドルームなら週400ユーロくらいで借りることができます。

リスボン市内には大型のショッピングセンターが数多くあり、メトロのミリタール駅にあるコロンボ・ショッピング・センターなどは巨大なスーパーマーケットや400以上の専門店、レストラン街などが入っており、中には日本食レストランの東京もあり寿司や刺身なども味わえます。メトロのマルケス・ド・ポンバル駅にあるアモレイラス・ショッピング・センターにはリスボンには珍しくラーメンのある中華レストランがあります。スーパーマーケットは、ピンゴドーセやチャンピョン、コンティネンテなどが大型ショッピングセンター内や各地区に点在しています。日本食材は扱っているところが少ないですが、メトロのマーティム・モニッツ駅にある陳氏超級市場という中華食材店では日本食材が手に入り、メトロのロッシオ駅近くにある同支店でも同様のものを扱っています。時間をかけるなら、スペインにある東京屋からの宅配サービスを利用することもできます。

リスボンのレストランでは、やはり魚介類、特にタラを使った料理が名物で、イワシの炭焼きや魚介類のリゾットなどのシーフードを使ったレストランが数多くあります。また、肉料理も目の前でもうもうと煙をあげながらチキンをローストするのが見えるレストラン、壷のような容器に入った煮込んだスープとパンが名物のレストランなど、ポルトガル料理が手軽に味わえるレストランが数多くあります。その他、旧宗主国だったこともありブラジル料理のレストランも街のあちこちに点在し、日本料理も彩や札幌など市内にはいくつかの日本食レストランがありますから、日本食が恋しいときにはメトロで気軽に立ち寄ることができます。

市内では、名物の路面電車の5路線と鉄製の優雅なサンタ・ジュスタのエレベーター、
ケーブルカーを乗り継いで、市内に点在する歴史的建築物や文化的な施設を巡ったり、テージョ川に浮かぶ観光船から市街地を眺めてみるのもリスボンでの海外ロングステイならではの楽しみです。また、ポルトガルの大航海時代の装飾様式であるマヌエル様式やアズレージョという建築の装飾スタイルなどの文化を訪ねながら市内を散策することもでき、マドレ・デ・デウス修道院の中にある国立アズレージョ美術館では、その歴史についても学ぶことができます。

リスボン市内や近郊では、決まった曜日に開かれる定期市の他に、夏の祭りに合わせて開かれる市、何かのテーマを主体にした市など、フェイラと呼ばれる市が街のあちこちで開催されています。新聞や街角の案内で情報を仕入れ、色んな市を巡り歩き骨董屋などを冷やかすのも楽しいものです。また、ポルトガルではゴルフはまだ一般的なスポーツとして普及するまでには至らず、一部のファンか外国人のスポーツというイメージがありますが、リスボン市の郊外にはいくつかのゴルフ場があり、およそ60〜80ユーロで楽しむことができます。

ポルトガル独特の陶磁器を訪ねる小旅行では、リスボンの古代美術館やアズレージョ美術館で歴史的なものを鑑賞し、アゼイタンやエストレモスの街を訪ね絵皿や土人形の製作工程を見学し、カルダス・ダ・ライニャの市立美術館などで編み上げたような独特の技法で作られた陶器を見学するなど、ボルトの町に至るまで各地を陶器中心に巡る旅が楽しめます。近郊にある世界遺産シントラ・ロカ岬やナザレ、オビドス、バターリャエヴォラ等へののんびりした小旅行も楽しいですし、思い切って空路で隣国に出かけるのもいいでしょう。数時間でパリやマドリッド、ミュンヘンなどを訪れることができますし、費用も国内旅行並みですから日本から行くのとは違い手軽に各国巡りも楽しめます。

カスカイスは、リスボンから西へ約30km、電車で約30分のお洒落なリゾート地で、周辺にはF1グランプリが開催されるエストリルもあり、この西岸一帯はコスタ・ド・ソルとも呼ばれポルトガル屈指のリゾートが続き、近くには世界遺産に登録されたシントラもあり、海外ロングステイの滞在地としても注目されている地域です。かつて王室の保養地でもあったカスカイスは、今ではポルトガルのみならず世界各国からも多くの人々が訪れるようになり、ポルトガル国内では珍しく英語が通じやすい街でもあります。

日本からカスカイスへは、ロンドンやパリ、フランクフルトなどのヨーロッパの主要都市を経由もしくは乗換する便でリスボンに向かい、リスボンからは国鉄の電車で約30分の所要時間です。リスボン空港から直接タクシーで向かっても1時間ほどで到着します。カスカイス市内はそれほど大きくなく中心部は歩いて回れるほどですが、リスボン郊外や近郊へ向かうには国鉄の近郊線やバスの利用が便利で、カスカイス周辺やロカ岬へはバスが出ています。また、タクシーも比較的安く利用できるため近郊周遊にチャーターするのもひとつの方法です。

カスカイスでの滞在は、リゾート地らしく海岸地区には数多くのリゾートホテルが並びます。ロングステイでの滞在には、キッチン付きのホテルやアパートメントホテル、長期滞在用の賃貸アパートがあります。キッチン付きのホテルで1泊80ユーロくらいから、アパートメントホテルで1泊70ユーロくらいから利用できますが、夏のシーズンには数多くの人々が訪れることから、料金も高騰して5割から10割増になります。賃貸のアパートでは、2ベッドルームで月600ユーロ、1軒家で月1500ユーロくらいから借りることができますが、こちらの方も夏のシーズンだけの短期賃貸だとかなり割増された料金となりますから、うまくシーズンを外すか年間を通しての賃貸を計画するようにしましょう。

カスカイス駅前のカスカイス・ビッラ・ショッピングセンターやエストリルとカスカイスの間にあるカスカイス・ショッピングセンターなど大型のショッピングセンターもあり、中には大手スーパーマーケットやファストフード、写真屋、クリーニング屋、雑貨屋、衣料関係のブティックなど各種専門店や映画館などが入っており、日常の大抵のことはショッピングセンター内で片付きます。スーパーマーケットも駅前に中華食材のあるジャンボ、生鮮食料品の質が高いO・SACOなどがあり、日本食材は和食陶器の「やすらぎ」の中にみさと屋という小さな日本食材店があり、量がまとまれば配達も可能です。また、週2日開かれる市では生鮮食料品が安くて新鮮なものが手に入ります。

カスカイスの街にはレストランも数多くあり、海辺のリゾート地らしくシーフードレストランは様々な業態で数多くあります。カスカイスはもともと漁師町で漁港があり、その日にあがった近海物の海産物がレストランの食卓に並びますから鮮度は飛び切り良く、値段もリスボンに比べてリーズナブルに味わうことができます。街の中心部にはおとぎの国のような可愛い家が並び、レストランも数多く立ち並ぶエリアです。大通りから路地に入っても小さなレストランが続き、テラスでのんびりタラ料理やポルトガル風スープステーキが味わえます。また、海外から多くの人が訪れることもあり、イタリアやドイツなどのヨーロッパ料理やアジアンエスニックのレストランなども揃っています。日本食はシントラ方面へ少し行ったところにあるホテルの中にみどりという日本食レストランがあり、週末には鉄板焼きや天麩羅、寿司が45ユーロで食べ放題でカスカイス在住の日本人ロングステイヤーも時々通っているようです。

カスカイスは海岸リゾートで、各ビーチではセイリングやサーフィンなどのマリンスポーツが楽しめますし、透明で綺麗な海のビーチで何をするでもなくゆったりした一日を過ごすのも、カスカイスらしい過ごし方です。また、カスカイス近郊にはゴルフ場が集中しており、海風に吹かれながら爽やかなゴルフを楽しむことができ、手軽なところだと60ユーロくらいから利用できます。

カスカイス市内や近郊には歴史的な名所も数多くあり、カストロ・ギマランエス伯博物館や海の博物館、少し足を伸ばすとユネスコの世界遺産に登録されたシントラがあり、歴史を感じさせる王宮や17世紀の要塞を探索することもできます。シントラの王宮や貴族の館ではクラシックのコンサートが開かれることもあり、またカスカイス市役所前でも気楽なコンサートが時々催されますから、音楽好きのロングステイヤーにも好適地となります。

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