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最新記事【2006年05月15日】

ロングステイというと、以前は移住や永住の意味合いを連想したものですが、最近では、生活の基盤は日本に置きながら、自分の好きな国で好きな時に好きなことをして暮らす、そうしたライフスタイルとしての海外移住を意味するようになってきました。

季節の変化に合わせ、日本が寒い季節には南半球や気候の温暖な東南アジアへ、また反対に暑い時期にはカナダや南半球へ、自分の健康状態や環境に合った海外での生活を過ごす人、毎年1〜数ヶ月を海外でゆったり過ごす人、数週間を海外の違った環境で過ごす人、語学や現地での習い事、スポーツ、さらにはボランティアなど趣味や嗜好、興味を持つことで過ごす人など、そのスタイルは期間も目的も様々です。

ロングステイという言葉の生みの親である財団法人ロングステイ財団では、「ロングステイとは海外で学び、遊び、触れ合い、心の豊かさを感じることのできる海外滞在で、移住でも永住でもなく2週間以上の滞在で帰国を前提とした海外滞在型余暇」、と位置づけています。

日本という国に生まれた私達にとって、日本は住みやすく素晴らしい国で、そんな暮らしのできる日本を否定してしまうのではなく、文化や環境の違う海外での生活を楽しんだり現地の人々との交流を持ったり、新しい何かにチャレンジしてみたい、そうした新たな生活を体感する生き方としてロングステイを捉えていくことが大切です。

海外ロングステイの基礎知識海外移住・ロングステイをしたいが一体どういった心構えが必要なのか、どれくらいの予算を組まなければいけないのか、年金額内で賄える海外の滞在地はあるのか、滞在先では何をすればいいのか、そうした海外移住・ロングステイの計画を始めるに際しての、基本的なことについて考えてみましょう。

世界保健機関の2006年版「世界保健報告」によると、日本の平均寿命は女性が86歳、男性は79歳と世界で最長となったようです。現在、ロングステイに関心を持つ人々は、50代から60代のリタイア前後の新たな人生を迎えつつある世代が多く、退職後の長い第2の人生をいかにして過ごすか、どう充実させていくか、どのように生きていくか、と今後の人生を積極的に見つめ模索していく人々が増えてきたことが、その関心の大きな要因となっているようです。

また最近では、30〜40代の世代の潜在的な需要も増えつつあり、その世代でロングステイに興味を持つ人々は、まだまだ余裕のあるうちにゆっくり時間をかけてリタイア後の人生を見つめていこう、と考えているようです。

来る2007年からは、団塊の世代が次々に定年を迎えていくことになりますが、今の日本では小子高齢化社会が大きな問題となり、それに関連して年金額に対する将来的な不安も生じるような経済的状況もあることから、そんな状況でも何とか限られた予算範囲内で安定した生活を過ごしていきたい、といったその世代の願いを叶えてくれるのがロングステイではないか、このような考えがロングステイに大きな関心を持つ要因になっているようです。

知力や体力、気力のまだまだ衰えていないこの世代の人々の、人生におけるひとつの選択肢として新たに生まれてきたのがロングステイです。日本では獲得し難いことも海外だからこそ成し得る、そうした生活を望むのは、その目的や過ごし方が違っていても、ロングステイに関心のある人々全てに共通した欲求でしょう。

異文化に自分を置くことで、日本での今現在の生活とは違った環境での暮らしを気負いも衒いもなく営んでいく、そうした暮らしの中で生きている充実感や充足感を得ることができる、そんな人生の醍醐味はロングステイならではでしょう。

海外移住ロングステイをする上で最も大切なことは、自分が滞在する予定になっている土地の習慣や決まりごとについてよく知ること、そしてそれらを受け入れた上で現地の人々の暮らしを尊重しつつ生活していくことでしょう。ロングステイは行動を起こし実践する側だけのムーブメントではありません。それを受け入れてくれる国や土地の人々の受入れ体制があるからこそ成り立つのです。

その地で充実した生活を過ごしていくためには、まず自分が滞在する国やその土地の情報を掴み知識を得ることなど、じっくり時間をかけた準備をしていく必要があります。また、現地にいる日本人のみと交際するのではなく、土地の人々と交流しその暮らしぶりを見ることで、彼らの生活スタイルや価値観、その土地の良さをあらためて認識することができ、より充実した生活を過ごせることとなるでしょう。

経済格差の恩恵で安価な生活を過ごせる、という目的だけで滞在するような発想のみではなく、現地の人々と同じ位置に立って現地のものを購入し、現地のサービスを利用し、現地で生産されたものを食していく、そうした暮らしの中で、お世話になっているその土地や国への貢献をしていくことも大切です。

年金をベースとしてそれ以外に収入がある場合には、費用的には余裕のある生活ができますが、年金だけでロングステイ全般を賄おうとする場合には、状況によっては難しくなってくることもあります。食費や交通費、ゴルフやフィッシングなどの娯楽費は日本よりも安く済みますし、目的国への往復航空券についても、その購入時期や手配の仕方によってかなり安くなります。

ところが住居関係については、国により違いはありますが、あまり安価な費用の物件を求めることになると、それに反して安全性に大きな不安が残ることになり兼ねません。治安が世界の最高水準にある日本とは違い、一般的に外国では多少の費用を払ってでも安全は買わなければ求められませんから、セキュリティが一定レベル以上の物件を確保する必要があります。

セキュリティガードが建物や敷地内に24時間体制で常駐し、安全面で充分納得できる環境が保たれている物件をその安心基準として選択することが大切です。予算との兼ね合いもありますが、住居環境が一定レベル以下にならないように、抑えられる費用など他の支出とのバランスを考えていくことが必要です。

海外移住ロングステイをしている人々は、その地域や環境の違いは様々ですが、短期の旅行型滞在で2週間くらい、長いもので半年くらいの滞在が多く、最近では日本の冬の間を海外の温暖な気候の国で過ごす、というスタイルが好まれてきています。気候や風土、安心できる現地日本人コミュニティの有無、趣味や嗜好などで選択する地域は様々ですが、まず第一に考慮しなければならないのは治安のよさ、安全性でしょう。

次に医療面での充実や言葉の問題、物価など生活面でのことを検討した上で、自分にとって一番相応しい場所を選んでいくべきでしょう。たっぷりある自由時間を地球上のどこでどう暮らしていくか、じっくり検討していくのも楽しい時間です。ロングステイの人気滞在国は1992年にはハワイやカナダ、オーストラリアがベスト3でしたが、2004年にはカナダやオーストラリア、マレーシアがそのベスト3になっています。

また、ここ数年、前出のマレーシアやタイ、フィリピン、インドネシア、台湾などアジアへのロングステイに関心が集まっているようです。肌の色も似通っていて、文化や習慣にも共通したところのある国での暮らしが身近に感じられるようです。

海外移住ロングステイで何をしたいのか、どうやって過ごしていくのか、といった滞在目的については、特に明確な選択の基準があるわけではありません。語学を身につけたい学習タイプ、スポーツや趣味を楽しむ時間を費やしたい趣味タイプ、過去の経験を生かして何か現地に貢献したいというボランティアタイプ、名所旧跡を訪れてその国の文化や歴史を知る観光中心タイプ、絵画などの美術品や音楽鑑賞といった芸術タイプ、土地の人たちとの交流する中で異文化の体験を深める体験タイプ、病気療養や健康回復をはかる養生タイプなど、それぞれの目的は多様でその暮らし方もまた様々です。

また、これまでの日本での生活とはまったく違ったシンプルライフでの生活を目指し、ライフスタイルそのものを変えていくことをその目的にする人もいます。「現地ならでは」といったロングステイの目的に適った生活を充実させるためには、そうした多様な個々の目的に合う場所の知識を充分に得た上で、滞在地の選定をすることが大切です。

「長期滞在型余暇」と呼ばれるロングステイでは、日常空間を変え自分流の目的を持った新鮮な生活を営む中で、新たな自分の発見や思いがけぬ人との出会いなども生まれてくるでしょう。

海外移住・ロングステイ情報

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