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最新記事【2006年05月13日】

最近では、世界の20カ国近くで退職者や年金生活者を対象としたリタイアメント(退職者)ビザ制度が実施されています。リタイアメントビザによる滞在期間は国によって違いますが、短いもので1年、長いと5年の期間を設定しており、その取得条件を満たしていれば期限前に延長することも可能で、ビザが有効な期間中は日本との行き来も自由にできる、というメリットがあります。

国によって再入国許可制度などその制度の違いはありますが、観光ビザのように新たにビザを取得必要もなく、再入国と滞在が認められています。取得条件は国によってそれぞれ違いがありますが、共通していることはその国で労働する必要のない資金的な裏づけがあることです。なお最近の情報ですが、台湾が2006年2月より、日本人退職者用に180日間有効のリタイアメントビザ制度を導入することになりました。

【主なリタイアメントビザ実施国】
 ■ヨーロッパ
 イギリス、オーストリア、スイス、スペイン、ブルガリア、ポルトガル

 ■中南米
 グアテマラ、コスタリカ、ブラジル、メキシコ

 ■アジア
 タイ、フィリピン、マレーシア、台湾

 ■オセアニア、太平洋圏
 オーストラリア、フィージー、北マリアナ連邦

自分が滞在しようと計画している国の気候についても、若い頃とは違いシニア層にとってはロングステイ先選択の大きなポイントになります。年間を通して温暖な国もありますが、国によっては日本の四季の変化とは違った季節の変化もあります。

オーストラリアのように年間を通じて比較的温暖で真冬でも日中は20度近くになる国もありますし、年間を通じて暖かな気候が魅力のタイやマレーシアなどアジアの諸国では、季節によっては酷暑となる時期もあります。

同じアジアでも、マレーシアのキャメロンハイランドの場合には、標高の高い地域にあって年間温度が18〜24度と常春の穏やかな温暖気候ですし、同じ国でも地域によって気候が大きく変わるところもあります。また、南半球にある国々では日本と季節が反対ですから、日本の厳しい寒さを避けて温暖な気候をを求めるのにはいい選択になります。

このようにロングステイには、自分の好きな、体に合った季節を選んでその地に滞在する、ということも可能になります。ロングステイをする時期にもよりますが、自分に合った気候を持つ国を選択するためにも、一度はその国の希望する地域に出かけて行って実際にその気候や風土を体験してみることが大切です。

南半球のように移動時間はかなり掛かるが時差は殆どない地域、ヨーロッパや北米大陸のように移動時間が掛かり時差もある地域、アジアのように移動時間もあまり掛からず時差も殆どない地域など、行く場所によって移動時間や時差は様々です。

大きな時差がある地域に行く場合、時差ボケが解消されるのには、若年層に比較するとシニア層の場合にはやや時間が掛かり、おおよそ10日ほどの日数を要します。時差ボケは、急激な時間の変化に体のリズムが順応しきれないために起こり、寝付きが悪い、夜中に目が覚める、昼間の眠気が強いといった睡眠障害をはじめ、頭痛、疲労感、食欲不振などの症状があります。

その予防には、
@出発数日前から睡眠時間をずらす
A現地到着時刻が夕方または夜になる飛行便を選ぶ
B機内では、旅行先の時刻に合わせる
C到着後は現地の時間に合わせて行動
D翌朝はなるべく早く起き、太陽の光を浴びる

などがありますが、時差ボケとなった場合には、体内時計をいかに素早く現地の太陽の運行に合わせるか、そのためには到着して最初の午前から午後にかけての比較的強い太陽の光を浴びるのがもっとも有効だと考えられています。到着日の翌朝には早めに起きるように心掛けて朝日を浴びましょう。休息と活動のリズムを切り替えるために軽く散歩するのもおすすめです。短期のロングステイでは、時差ボケでボーっとしていては台無しになります。限られた滞在を快適に眠り元気に楽しく過ごしていきたいものです。

また、移動時間については、アジア地域のように4〜7時間くらいで着いてしまうところから、ヨーロッパのように10時間以上を飛行機の機内で費やすところもあります。長時間の移動を好まなかったり健康面で不安のある場合には、日本から比較的短い距離の地域を選択する必要があります。

海外移住ロングステイを考えるとき、滞在地の物価を考えることは以前はあまり多くなかったようですが、最近ではやはり候補地選択のひとつのポイントとして気になることが多いようです。特に年金のみで生活費を賄う暮らしの場合には、できれば年金の範囲内で生活できる国を、と考えることが多いでしょう。

米国に本社を持つ、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング社の調査によると、2005年の世界でもっとも物価の高い都市が日本の東京、次の2位も日本の大阪ですから、それ以上に物価の高い国は世界にはありません。つまり、日本より全般的な物価の安い国で生活する場合、日本と同レベルの生活ならその費用は日本より安くなりますし、日本で生活するのと同等の費用を掛ければ、日本で生活するレベルよりも豊かな生活ができるということなのです。

2004年度の総務省家計調査によれば、世帯主60歳以上の生活費の月額平均は約25万円、同じく2004年度の生命保険文化センター「生活保障に関する調査」で現役世代も含めた対象者に、夫婦二人での「老後の最低日常生活費」の額を尋ねたところ、平均は24.2万円でした。ゆとりある老後のためにはと尋ねたところ、およそ38万円が必要ということでした。

日本でリタイア後の生活費を賄っていくには、公的な年金ではかなり厳しい現実となりますが、海外でのロングステイでは選択する国や地域によっては充分ゆとりのある生活レベルを維持することができるのです。自分のライフスタイル、その国での過ごし方をよく考えた上で、慎重に計画を立てるといいでしょう。

海外移住ロングステイをする上で、滞在費用に占める割合の大きいのが住居費で、その費用の大きさにより滞在費の他の項目の割合も大きく変わってくるといっても過言ではありません。もちろん安い物件を借りれば、滞在費に占める割合を低く抑えることができますが、安さも程度の問題で、あまり低価格な物件ではそのセキュリティや快適さに問題が出てくることになります。

海外では地域によって所得層が変わることもあり、低価格物件のある地域では防犯性に問題が生ずる場合もあります。したがって住まいを選択する際には、そうした費用による環境の違いをよく考慮していく必要があります。また、国によって全般的な物価レベルはもちろんですが、住居費にも大きな違いがあります。例えばホノルルなどで2LDKクラスのコンドミニアムを1ヶ月借りると2000ドルくらいは掛かりますが、タイのバンコクやマレーシアのペナンなどでは、月6万円から借りられる同クラスのサービスアパートもあります。

比較的費用を抑えてかつ豊かに暮らそうと思えば生活できるところと、ある程度以上の余裕を見た費用が必要となる国があり、自分の経済状態を考えた上で、その物価も滞在地を決めるひとつの大きなポイントとなります。住居費は年間契約ならかなり安くなりますが、1ヶ月単位では割高になるケースが殆どで、滞在期間により随分違いがあります。滞在期間や利便性、経済性などを考慮して、ホテルやサービスアパート、コンドミニアム、ホームステイなど多様な住居スタイルから選択するといいでしょう。

日本と比較すると、国によっては全般的な物価レベルがかなり低いところもあります。そうした国で現地の人と同レベルでの生活をするというのではなく、きちんとしたセキュリティのある住まいで生活し、時々は日本食も食べ、一定レベル以上の生活を維持するのに費やすコストが比較的安価に抑えられ、日本よりも安く済むという国もあります。

反対に、日本と同様の生活をすれば、同等のコストが掛かってくる国もあります。また、どの国でロングステイをするにしても、外国人としてその地に暮らしていく以上は、現地の人と比較するとその生活スタイルも違ってきますし、外国人である故の多少の出費の多さは当然のこととなります。

また、現地の物価レベルを知るには、現地にある大型スーパーなどのチラシを手に入れて、掲載されている商品を日本の同等品と比較すれば、おおよその生活物価を判断することができます。スーパーのチラシは新聞に折込で入っていますが、スーパーまで出向いて手に入れることもできますし、実際にスーパーで陳列されている商品を眺めてみる体験をしてみるのも、現地の生活物価を知る大きな手がかりになります。

日本人が、日本人としての平均的な生活をして月にどれくらいの費用が掛かるかを国別に挙げてみました。同国内での費用の差は、外食の頻度、住居費などの違いによります。また、この数字はあくまで参考程度の一般的な目安です。アジアの場合、現地の人と同レベルの生活をすれば相当安く抑えられますが、日本人としての生活レベルを維持し、きちんとしたセキュリティの住居で暮らした場合、このくらいの費用は掛かってきます。

■各国の1か月の生活費概算(夫婦2人分)

・スペイン
 22〜35万円

・ポルトガル
 23〜35万円

・カナダ
 14〜28万円

・ハワイ
 20〜42万円

・オーストラリア(シドニー)
 23〜35万円

・オーストラリア(ケアンズ、ゴールドコースト、パース)
 15〜28万円

・ニュージーランド
 20〜27万円

・タイ
 15〜25万円

・マレーシア
 17〜26万円

・フィリピン
 10〜17万円        

数日だけの海外旅行なら、その土地の料理だけでも楽しむことはできるでしょうが、ロングステイとなるとそれでは単調な食生活にもなり兼ねないですし、同じようなものばかり摂って栄養が偏ることもあります。また、滞在地の食事がまったく合わない国の場合には、ロングステイは危険とも言えます。これまで数十年間も慣れ親しんできた日本食の味覚を変えるのは、実はとても大変なことなんです。

若い頃とは違って、シニアには和食への思い入れも大きなものがあります。食事に好き嫌いのない人なら、昨日はタイ料理だったから今日は中華料理にしよう。明日は西洋料理にしようか、それとも海鮮料理にしようか、などと多様な食事を楽しむこともできますが、日本食かそれに準じた料理しか受け付けない場合には、その食材が毎日調達できるか、日本料理店が身近にいくつあるか、ということが滞在地を選択する上で最も大きなポイントのひとつにもなります。

そうした日本食嗜好の強い人以外でも、やはり子供の頃から慣れ親しんだ味覚は離れがたいもので、実際に移住やロングステイして現地に馴染んでいる人々も、食事だけは日本食にこだわっているという人が多く、日本に帰国した際に、海外では手に入らない食材を入手して現地に持ち帰る人々も多いようです。短期旅行と違い、食事などは自分でスーパーなどで食材を購入し、滞在先にて調理するなど、生活を工夫していけばさらに安く済ませる事も出来ると思います。これもロングステイならではの楽しみ方の一つですね

最近では、海外の大きな都市では、日本食レストランは必ずといっていいほどありますが、寿司も天ぷらも丼モノもまかなってしまう駅前食堂のような「何でもありの日本料理店」だけのところから、国や都市によっては、寿司屋、天ぷら専門店、焼肉屋、蕎麦屋、ラーメン屋など多岐にわたる専門店が相当数出店しているところもあります。

その客層も日本人ばかりではなく、現地の人々にも日本食は人気があるようです。寿司屋などは回転寿司方式で出店しているところも多く、カリフォルニアロールなどその地ならではの食材を使った現地オリジナルの寿司や現地でしか獲れない海産物を楽しむこともできます。

ただ、そうした日本食レストランでの食事は多少は割高になりますから、回数が重なると必然的に食費も高くなり、滞在費に占める食費の割合が高くなってしまいます。食費のコストを下げるために現地料理を食べても満足できない場合には、日本料理を自炊で作るという選択もあります。

大きな都市では、かなり品種の豊富な日本食材を扱う店も増えており、ところによっては日本食材や弁当などを自宅まで配達するサービスなどもあります。そうした日本食材の中には現地で生産されたものも多くあり、中には焼き鶏の材料や冷凍食品など、現地の食品工場で加工して日本に輸出しているような国もあります。

また近頃では、現地のデパートや大型スーパーでも、うどんや醤油、インスタントラーメンといった一般的なものから、海外で人気の低コレストロールでタンパク質が多いと評判の豆腐まで、品数は限られますが、気軽に日本食材が手に入るようになってきています。アジアの国では、細長いインディカ米ではなく、日本米を現地栽培して国内市場に流通させているところもあり、以前と比較すると日本米も手に入れやすくなってきました。

日本食材以外にも、街の市場などでは野菜や肉、魚などの新鮮な食材を手に入れることができますし、そうした市場では現地の人々とのコミュニケーションを楽しみながら買い物をするのもいいでしょう。滞在先で調理ができる環境にある場合には、自炊で日本食に挑戦してみることもロングステイの楽しみの一つとなります。現地に長く滞在する人の中には、漬物を自分で漬けたり納豆を作ったりしている人もいるようで、世界のどこにいても限られた素材をもとにして、日本人の知恵を生かして食を楽しむスタイルを実現しているのでしょう。

日本では、どこへ買物に行っても新鮮な食材や生鮮食品を手にいれることができ、インスタントやレトルトの食品なども豊富にあります。レストランや飲食店も衛生状態がよく行き届いたサービスで食事を楽しむことができ、季節の旬の味や世界各国の料理など、とても豊かな食生活を満喫することができます。「食べる」ということは、人生の大きな割合を占める楽しみですが、食文化は国によって大きく異なります。

欧米では、その合理性から、インスタントやレトルトなどの食品を電子レンジなどで調理して手軽に済ませることが、ひとつの食スタイルになりつつあるようです。外食文化の盛んなアジアなど3食を外食で済ませる人々の多い国などでは、必然的に経済的な大衆レストランや屋台の文化が発達し、街のあちこちに様々な料理を扱う大衆レストランや屋台を見かけることができます。

そうした国では台所のない家も多く、家族や仲間での普段の食事は大衆店か屋台で揃って摂ることが、その食事スタイルの中心となっているようです。そうしたところでは現地ならではの食事を楽しむことができますが、場所によってはレストランや屋台などが衛生的に問題のあることもあり、食中毒やA型肝炎などの病気に罹患することもあります。

日本で清潔な食環境にある日本人にはその免疫が少なく、体調の良くないときなどには危うい状況になりがちです。現地の人も、不衛生そうに見える店や客のあまりいない店などは敬遠しますし、大衆レストランや屋台であっても新鮮な食材を使って美味しい料理を提供しているところはいつも賑わっています。そういった状況をよく観察しながら現地での食事にチャレンジして、殆ど言葉の通じないコミュニケーションを楽しむのもいいでしょう。

また最近では、ショッピングセンターの中にフードコートを設けているところが多くあり、フードコートでは、屋台などであるような料理やインターナショナルな料理、日本料理っぽいものが、清潔な環境で比較的リーズナブルに楽しむことができます。

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